wagaボーダー国旗降納式

国境を目指す
インドとの国境を目指す。疾走するオートリクシャがラホールの風を切ってゆく。「そのカメラはニコンか?」。そんなことはどうでもいい。前を向いてくれ、前を。と思っていたが、写真を撮ると「ひゃっほー」と喜ぶのだった。

国境にやって来た
ゲートの向こうにインドのスタンドが見える。国境にスタンドを建てるとは、どういうことなのだろう。

振り返ってみた
パキスタン側にもスタンドがある。インドとは違い、男女の座席が分けられている。そう、ここはイスラム教文化のパキスタンなのだ。

男たちが歩いている
式典を前に下っ端の軍人がうろうろしている。上司からの伝令を伝えているようだが、徹底できているかは甚だ疑問である。

ゲートは閉まっていた
本格的に式典が始まるまでは、会場を散歩することができる。ここを兵士が行進するんだな、ということが見たこともないのに分かる。道に染み込んだ兵士の汗が語りかけているのだ。

謎の打ち合わせ
なぜか敵対しているはずのインド側の兵士と、ゲートを開けてまで言葉を交わす。行進開始のタイミングだろうか。

さらに謎の打ち合わせが続く
一度は話し合いが終わったと思ったが、また接触。何やら受け渡ししたように見えたが、オカネのわけもなく、何なのか今でも知りたい。

緑色の男が現れた
スタジアムからは「パキスタン・ジンダーバード(万歳・永遠なれ・がんばれ、などの意味)」の歓声がたびたびわき起こる。突然、ゲートの奥から全身パキスタンカラーの男が旗を持って現れた!

インドを挑発
そのまま男はゲートまで走り、旗を振って大声で叫んだ。スタジアムからは彼の行動を後押しするような歓声がわき起こる。ゲートの向こうでは、対抗するようにインドの旗が振られていた。

お爺さんの背には
一段と大きな歓声がわき起こった。またも、パキスタン国旗とシャツを着た人が走ってくる。よく見ると、お爺さんだった。国旗降納式に来る人にはお馴染みのお爺さんのようで、たくさんの歓声を背負って走っていた。国を背負うということは、一般庶民でも可能なのだ。

印パどちらにも旗を振るということ
爺さんの経験は、前を走った男よりも一枚上手だった。インドにもパキスタンにもがんばって旗を振る。パキスタン人にはパキスタン代表かもしれないが、海外から来たただの旅行者には、両国に対するエールのようにも見えた。印パの関係を知れば知るほど、そのようなことはないはずなのだが、そこが人生の先輩のなせる技なのだろう。

爺さんにはかなわない
ひととおり旗を振り終わると、爺さんは旅行者たちの方へ駆け寄ってきた。そして一人ずつ握手をして「サンキュー、サンキュー」と言うのだった。

さらに歓声は大きくなる
爺さんのときでも大きな歓声だったが、さらに歓声が大きくなっていく。「パキスタン、ジンダーバード」「パキスタン、ジンダーバード」。日頃のパキスタン人の印象とはほど遠い大声に、「インドには負けたくない」という意思を感じる。

ついに行進が始まった
逆光を背に入場してくるパキスタンの兵士たち。毎日のことなのに、負けられない試合のような空気が場を支配する。「パキスタン・ジンダーバード」「パキスタン・ジンダーバード」「パキスタン、ジンダーバード!!!」

キビキビと
兵士たちは入場してくると、一人ずつ上官に対して敬礼し、持ち場につく。

勲章の有無
どの社会でもそうだが、勲章のある者とない者とでは、立つ位置が違う。ない者は、いつかある者の方へと移動したいものだ。彼はどのような気持ちで上官と対峙しているのだろう。

上官とは
上官も人である。彼が、国のことを考えているのか、今日の晩ゴハンのことを考えているのか、それとも何も考えていないのか、それは彼本人にしか分からない。そして、ゲートは開かれた。

威嚇するような足音
インドを、インドを踏みつける!そう宣言しているかのような行進。足を振り上げ、降ろすだけの行動に、ここまでの迫力と決意があるのだろうか。国同士の争いは、無益だが大きなチカラを生み出すものなのだろう。

両軍の行進が終わった
気が付けば、インド側も兵士の行進をしているらしく、盛り上がっている。そして、両軍の行進が終わり、張りつめた無音の空間が印パ国境を支配した。

国旗へ
両軍の兵士が、国境のラインのそばを行進する。目も合わせない、ただ、相手を威嚇する行進を見せつけあう。

2008.9.19
音楽担当の兵士が見つめる先は、自国の代表が行進する姿。

そして国旗が降ろされ始めた
思ったよりもゆるやかに、両軍の兵士が国旗を降ろし始めた。息を合わせるというよりは、競輪競技の序盤のように、相手の出方を探っているかのように見える。

インドがペースを変える
以前はひたすら早く降ろすことを競ったこともあるらしいが、現在は友好的にゆっくりとセレモニーを行っているとのこと。ん?なんかインドの方が早く降ろそうとしていないか?

それでも様子を探りあう
インドも早く降ろし始めたなら、降ろせばいいものを、微妙なリードを守るように降ろす。あたかも僅差で勝ちたいかのように。だが、パキスタン側は挑発に応じず、一定したゆっくりとしたスピードで降ろしていった。
そして最後の数十センチ、両軍兵士はまるで競馬や競輪の差し足のように、そこだけ本気で降ろしたのだった。

今日の役割を終えて
意気揚々と引き上げる兵士たち。スタンドからは「パキスタン、ジンダーバード」「パキスタン、ジンダーバード」という歓声が雨霰のように降り注ぐ。

応援後は仲良く帰宅
昨日も一昨日も、明日も明後日も、そして今日も同じ式典である。だが、ラホール近郊に住む人々は、一種の義務として応援にやって来るという。明日も、同じ光景が続く。

彼が爺さんになっても
このままの印パ関係ならば、彼はおそらく何十年後かに名物爺さんになるのだろう。歴史は繰り返すが、印パ関係の複雑さを垣間みた旅となった。

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